グラトリ向けの板選び 早見表
「グラトリを始めたいけど、どんな板を選べばいいかわからない」という方のために、最初に結論をまとめておきます。詳しい理由は本文で解説していきますので、気になるところから読み進めてください。
| チェック項目 | グラトリ向けの選び方 |
|---|---|
| フレックス(硬さ) | ソフト〜ミディアムソフト(10段階で2〜5程度) |
| 形状(シェイプ) | ツインチップ(左右対称) |
| キャンバー構造 | ダブルキャンバー、ロッカー、フラットのいずれか |
| 長さ | 通常の適正サイズより3〜5cm短め |
| ウエスト幅 | 標準〜やや細め(操作性重視) |
| 重さ | 軽量なモデルが有利 |
| 価格帯 | 3万〜8万円が中心帯 |
そもそもグラトリとは?板選びが重要な理由
グラトリ(グラウンドトリック)とは、ゲレンデの平地や緩斜面でスピン、プレス、オーリーなどのトリックを行うスタイルです。パークのキッカーやレールを使わなくても楽しめるため、日本のスノーボードシーンでは特に人気が高く、YouTubeやSNSでも「グラトリ」の動画は常に注目を集めています。
グラトリの上達において、板選びは非常に重要な要素です。合わない板でグラトリを練習しても、プレスがしにくかったり、オーリーの弾きが足りなかったりして、なかなかトリックが決まりません。逆に、グラトリに適した板を選べば、同じ練習量でも上達スピードが格段に変わります。
基本的なグラトリのトリックや練習方法についてはグラトリ入門ガイドで詳しく解説していますので、技術面が気になる方はあわせてチェックしてみてください。
この記事では、グラトリに適した板の具体的な選び方を「フレックス」「形状」「長さ」の3大要素を中心に解説します。これから板を買おうとしている方も、今の板が合っているか不安な方も、ぜひ参考にしてください。
フレックス(硬さ)の選び方 ― グラトリの要
グラトリ向けの板選びで最も重要なのがフレックス、つまり板の硬さです。グラトリではプレスで板をしならせたり、オーリーで板の反発力を使ったりする動作が中心になるため、自分の体重と筋力で無理なくしならせられる柔らかさが必要です。
ソフトフレックス(目安:10段階で2〜4)
グラトリ初心者に最もおすすめなのがソフトフレックスの板です。軽い力でも板がたわんでくれるので、プレス系のトリック(ノーズプレス、テールプレス)が格段にやりやすくなります。低速域でのコントロール性も高いため、ゲレンデの緩斜面でじっくり練習するスタイルとも相性抜群です。
ただし、ソフトすぎる板はオーリーの弾き(ポップ)が弱くなる傾向があります。スピン系のトリック(ワンエイティー、スリーシックスティ)を目指すなら、ベリーソフトよりもソフト程度の硬さがバランス良くおすすめです。
ミディアムソフト(目安:10段階で4〜5)
グラトリにある程度慣れてきた中級者や、グラトリだけでなく通常の滑走やパークも楽しみたい方にはミディアムソフトが向いています。プレスのしやすさを保ちつつ、オーリーの反発力やカービング時の安定感も確保できるバランスの良い硬さです。
特に高回転スピン(スリーシックスティ以上)を狙うライダーは、しっかり弾けるミディアムソフト程度の硬さがあった方がトリックの完成度が上がります。
体重との関係を忘れずに
同じフレックス表記でも、体重が軽い方と重い方では体感の硬さが変わります。体重50kg以下の方がミディアムフレックスの板を選ぶと「硬くてしならない」と感じることがありますし、体重80kg以上の方がベリーソフトの板に乗ると「柔らかすぎて安定しない」ということも起こります。
自分の体重に合ったフレックスの選び方については板のフレックス(硬さ)の選び方ガイドも参考にしてください。
形状(シェイプ)の選び方 ― ツインが基本
ツインチップがグラトリの大前提
グラトリの板選びで形状は「ツインチップ(ツインシェイプ)」が基本中の基本です。ツインチップとは、ノーズ(前側)とテール(後側)が同じ長さ・同じ形状になっている板のことで、レギュラーでもスイッチ(逆向き)でもまったく同じ感覚で乗ることができます。
グラトリでは、ワンエイティーやスリーシックスティの着地がスイッチになることが頻繁にあります。ディレクショナルシェイプ(前後非対称)の板だと、スイッチでの安定感が大きく損なわれ、着地後のリカバリーが難しくなります。グラトリメインで板を選ぶなら、迷わずツインチップを選びましょう。
キャンバー構造の選択 ― ダブルキャンバー vs ロッカー vs キャンバー
形状と並んで重要なのが、板の「キャンバー構造」です。キャンバー構造の違いについてはスノーボード板の形状ガイドで基礎から詳しく解説していますが、ここではグラトリとの相性に絞ってポイントをまとめます。
| キャンバー構造 | グラトリ適性 | 特徴 | 向いているトリック |
|---|---|---|---|
| ダブルキャンバー | とても高い | 足元にキャンバー2つ+センターにロッカー。弾きと安定感を両立 | オーリー、ノーリー、スピン全般 |
| ロッカー(リバースキャンバー) | 高い | ノーズとテールが反り上がり、逆エッジしにくい | プレス系、バター系、低速トリック |
| フラットキャンバー | 高い | 板が平らで安定し、ルーズな乗り味 | プレス系、入門グラトリ全般 |
| キャンバー | やや高い | 中央が反り上がり、エッジグリップと反発が強い | 高回転スピン、高いオーリー |
| ハイブリッドキャンバー | 高い | キャンバーとロッカーの良いとこ取り | オールラウンドにグラトリ対応 |
プレス系をメインに楽しみたい方はロッカー形状もおすすめです。ノーズやテールが反り上がっているためプレスの入りがスムーズで、バター(プレスしながらスピンする技)のような動作がしやすくなります。
オーリーの高さや高回転スピンを重視する中級者以上は、従来のキャンバー構造も有力候補です。キャンバーは板のポップ(反発力)が最も強いため、しっかり踏み込むことで高いオーリーやノーリーが可能になります。ただし、逆エッジのリスクが他の構造よりも高いため、基本的なボードコントロールが身についてから選ぶのがベターです。
長さ(サイズ)の選び方 ― 短めが鉄則
グラトリは通常より3〜5cm短い板を選ぶ
一般的なスノーボードの長さ選びは「身長マイナス15cm前後」が目安ですが、グラトリ用の板はさらに3〜5cm短く選ぶのがセオリーです。つまり、身長170cmの方なら通常サイズ155cm前後に対して、グラトリ用は150〜152cm程度が目安になります。
短い板を選ぶ理由は大きく3つあります。
- 回転性が高まる ― 板が短いほど回転半径が小さくなり、スピン系のトリックがスムーズになる
- 軽くて取り回しやすい ― 板重量が軽くなり、空中での操作やプレス中のコントロールが楽になる
- 低速域での操作がしやすい ― グラトリは中低速で行うトリックが中心なので、短い板の方がクイックに反応する
短すぎにも注意
ただし、極端に短い板を選ぶのは逆効果です。身長に対して10cm以上短い板を選んでしまうと、安定感が大幅に低下し、通常の滑走が不安定になります。また、オーリーで弾いたときの反発力も弱くなるため、スピン系トリックの高さが出にくくなります。
以下は身長別のグラトリ向け板サイズ目安表です。体重や筋力によっても変わりますが、最初の一本を選ぶときの参考にしてください。
| 身長 | 通常の適正サイズ目安 | グラトリ向けサイズ目安 |
|---|---|---|
| 155cm | 140〜142cm | 137〜139cm |
| 160cm | 145〜147cm | 141〜144cm |
| 165cm | 148〜151cm | 145〜148cm |
| 170cm | 153〜155cm | 149〜152cm |
| 175cm | 156〜159cm | 153〜156cm |
| 180cm | 160〜163cm | 157〜160cm |
レベル別・グラトリ板の選び方チャート
ここまで解説してきたフレックス・形状・長さのポイントを、レベル別にまとめます。
グラトリ入門者(これからグラトリを始める方)
初めてグラトリに挑戦する方は、「柔らかく」「ツインで」「短め」の3条件を満たす板を選ぶのがベストです。ダブルキャンバーまたはハイブリッドキャンバー構造なら、グラトリだけでなく普段の滑走でも扱いやすいのが利点です。
プレスやオーリーの基本を練習する段階では、とにかく板が柔らかいことが上達の近道になります。最初の一本は「自分の体重で楽にしならせられるか」を基準に選んでください。ソフトフレックスの板なら、初日からプレスの感覚がつかめるはずです。
この段階で予算を抑えたい方は、国内ブランドのFNTCやNOVEMBERが3万〜4万円台でグラトリ特化モデルを出しており、コストパフォーマンスが高くおすすめです。予算面の板選びについては5万円以下で見つけるスノーボード板ガイドも参考にしてみてください。
グラトリ中級者(ワンエイティーができるようになった方)
ワンエイティーやプレス系のトリックが安定してきたら、少し反発力のある板にステップアップすると表現の幅が広がります。フレックスはミディアムソフト程度、構造はダブルキャンバーまたはキャンバーを選ぶと、スリーシックスティやコンボトリックに挑戦する際に必要な弾き(ポップ)を得られます。
また、この段階になるとスイッチでの滑走頻度も増えてくるので、完全なツインチップの板を選ぶメリットがさらに大きくなります。ディレクショナルツインでも良いですが、グラトリを突き詰めるならトゥルーツイン(ノーズとテールが完全に左右対称)の方が有利です。
中級者向けの板選び全般については中級者向けスノーボードの選び方も参照してみてください。
グラトリ上級者(スリーシックスティ以上を狙う方)
高回転スピンやコンボトリックを狙う上級者は、キャンバー構造でポップの強い板が選択肢に入ります。フレックスはミディアム程度でも、カーボン素材を使った軽量ハイスペックモデルなら板の弾きが非常に強く、オーリーの高さとスピンの回転力が格段にアップします。
ただし、上級者の場合は「自分のトリックスタイル」によって最適な板が大きく変わるため、試乗会やデモイベントで実際に乗り比べることを強くおすすめします。
ブーツ・ビンディングとの組み合わせも大切
グラトリ向けの板を買ったら、ブーツとビンディングも合わせて選ぶことで、トリックの完成度がさらに上がります。せっかく板をグラトリ仕様にしても、ブーツやビンディングが硬すぎると板のしなりを活かしきれません。
ブーツの選び方
グラトリ向けのブーツは、ソフト〜ミディアムソフトのフレックスがおすすめです。柔らかいブーツは足首の可動域が大きく、プレスやバターの際に膝を深く曲げやすくなります。高回転スピンを狙う方はミディアム程度の方がホールド感があって安心ですが、入門者はまず柔らかさを優先しましょう。
ブーツの詳しい選び方はスノーボードブーツの選び方ガイドで解説しています。
ビンディングの選び方
ビンディングもソフト〜ミディアムソフトのフレックスを選ぶのが基本です。ビンディングが柔らかいと板への力の伝達がマイルドになり、繊細なボードコントロールがしやすくなります。
また、ビンディングのスタンス幅やアングル(角度)の設定もグラトリには重要です。グラトリではダックスタンス(前足と後ろ足を外向きに開く角度設定)が一般的で、スイッチでの滑走がしやすくなります。具体的なアングル設定についてはビンディングの角度調整ガイドで詳しくまとめています。
ビンディングの基本的な選び方はビンディングの選び方ガイドをご覧ください。
レディース・キッズのグラトリ板選び
レディースの場合
基本的な選び方の考え方はメンズと同じですが、体重が軽い方が多いため、フレックスはワンランク柔らかめを選ぶのがポイントです。メンズモデルのソフトフレックスでも硬く感じる場合は、レディース専用モデルを選ぶと体重に合ったしなりが得られます。
レディースモデルはウエスト幅が細めに設計されていることが多く、ブーツサイズが小さい方(24cm以下など)はドラグ(ビンディングが雪面に当たること)を防ぎやすい利点もあります。女性向けの板選び全般についてはレディース向けスノーボード・スキーの選び方も参考にしてください。
キッズの場合
キッズがグラトリに挑戦する場合は、とにかくソフトフレックスの板を選ぶことが大切です。子どもの体重と筋力では大人用のソフトフレックスでもしならせられないことがあるため、キッズ専用モデルの中からツインチップのものを選びましょう。長さは通常のキッズ向け目安よりも2〜3cm短めが目安です。
予算別の選び方と購入時期
予算別の選び方
グラトリ向けの板は、予算によって選べる選択肢が変わります。
| 予算帯 | 選べるモデルの傾向 | おすすめの人 |
|---|---|---|
| 3万円以下 | 国内ブランドのエントリーモデル(FNTC TNT Cなど) | 初めてマイボードを買う方、学生 |
| 3万〜5万円 | 国内ブランドの中位モデル(FNTC TNT R、NOVEMBER Diceなど) | グラトリ入門〜中級の方 |
| 5万〜8万円 | 海外ブランドの定番モデル(Lib Tech Skate Banana、Salomon Huck Knifeなど) | 品質とパフォーマンスを求める方 |
| 8万円以上 | ハイスペックモデル(Yonex STYLAHOLICなど) | 上級トリックを目指す方 |
オフシーズンの購入がお得
スノーボードの板はオフシーズン(4月〜10月頃)に型落ちモデルのセールが行われることが多く、定価の30〜50%オフで購入できることもあります。特に夏場はショップが在庫を整理する時期なので、掘り出し物に出会えるチャンスです。一方、新作モデルの予約もこの時期から始まるため、最新モデルを確実に手に入れたい方は早めの予約がおすすめです。
オフシーズンの板購入についてはオフシーズンのスノーボード購入ガイドでさらに詳しく解説しています。
よくある質問
グラトリ初心者は板の硬さをどのくらいにすべきですか?
10段階表記でフレックス2〜4程度の「ソフト」がおすすめです。ソフトフレックスの板なら、軽い力でもプレスやバターの動作ができるため、グラトリの基本を覚える段階でストレスなく練習できます。体重が軽い方(50kg以下)は特にソフト寄りを選ぶと良いでしょう。
ダブルキャンバーとロッカー、グラトリにはどちらが良いですか?
どちらもグラトリに適していますが、方向性が少し異なります。ダブルキャンバーは弾き(オーリーの反発力)とプレスのしやすさを高いレベルで両立しており、スピン系からプレス系まで幅広いグラトリに対応します。ロッカーはプレス系のトリックが特にしやすく、逆エッジのリスクも低いため安心感があります。スピンもプレスも満遍なくやりたいならダブルキャンバー、プレス系を中心に楽しみたいならロッカーを選ぶのがおすすめです。
グラトリ用の板でカービングもできますか?
ある程度はできますが、本格的なカービングには向いていません。グラトリ向けの板はソフトフレックス・ツインチップが基本で、高速域でのエッジグリップや安定感はカービング向けの板に劣ります。緩斜面での軽いカービングなら問題ありませんが、急斜面をハイスピードで攻めたい方はカービング用に別の板を持つことをおすすめします。グラトリもカービングも一本で楽しみたい方は、ミディアムソフトのダブルキャンバーやハイブリッドキャンバーを選ぶと、どちらもそこそこ楽しめるバランスになります。
板の長さは短ければ短いほどグラトリしやすいですか?
一概にそうとは言えません。確かに短い板は回転性が高く、スピン系トリックでは有利です。しかし短すぎると安定感が著しく低下し、オーリーの弾きも弱くなり、通常の滑走にも支障が出ます。目安としては通常のサイズから3〜5cm短い程度が最もバランスが良く、それ以上短くすると弊害の方が大きくなりやすいです。
グラトリ向けの板でパーク(キッカーやレール)も使えますか?
使えます。グラトリ向けの板はソフトフレックスでツインチップなので、パークのジブアイテム(ボックス、レール)との相性は非常に良いです。ただし、キッカーで大きなエアを飛ぶ場合は、着地時の衝撃に耐えるためにもう少し硬めのミディアムフレックスの板が安心です。パーク全般のギア選びについてはフリースタイル板の選び方も参考にしてください。
型落ちモデルでもグラトリには十分ですか?
十分です。スノーボード板の性能は1〜2年で劇的に変わるものではないため、型落ちモデル(前シーズンモデル)でもグラトリを楽しむには全く問題ありません。むしろ、型落ちであれば定価の30〜50%オフで買えることもあるため、コストパフォーマンスは非常に高いです。ただし、あまりに古い板(5年以上前)は経年劣化でフレックスが変質している可能性があるため、ソールやエッジの状態を確認してから購入しましょう。
グラトリに適したスタンスの角度設定は?
グラトリでは「ダックスタンス」が基本です。前足を+12〜+18度、後ろ足を-9〜-15度程度に設定するのが一般的で、スイッチでの滑走がしやすくなります。スタンス幅は肩幅程度を基準に、やや広めに設定するとプレス系のトリックで安定感が増します。スタンスの詳しい設定方法はビンディングの角度調整ガイドで解説しています。
試乗せずにネットで買っても大丈夫ですか?
可能ですが、できれば試乗をおすすめします。特にフレックスの硬さは数値だけではわからない部分があり、同じ「ソフト」表記でもメーカーによって体感が異なることがあります。毎年シーズン前にはスキー場やショップが試乗会を開催しているので、そうした機会を活用すると失敗しにくくなります。どうしてもネットで購入する場合は、カタログで板を比較するでスペックをしっかり比較した上で、レビューや口コミも参考にして選びましょう。
まとめ
グラトリ向けのスノーボード板を選ぶポイントを整理すると、以下の通りです。
- フレックスはソフト〜ミディアムソフトを選ぶ ― 自分の体重で無理なくしならせられることが最優先
- 形状はツインチップを選ぶ ― スイッチでの安定感がグラトリの幅を広げる
- キャンバー構造はダブルキャンバーまたはロッカーが扱いやすい ― 初心者は逆エッジのリスクが低い構造を選ぶ
- 長さは通常サイズより3〜5cm短めを選ぶ ― 回転性と取り回しのバランスが良い
- ブーツ・ビンディングもソフト寄りで揃える ― 板だけでなくトータルでグラトリ仕様に
- オフシーズンの購入で賢くお得に ― 型落ちセールを活用すればコスパ抜群